子どものお仕事

2015年11月30日

毎朝、仏様にご飯とお茶とお水をお供えします。
仏様がいらっしゃるところ数箇所に、
その3点セットをお供えし、最後に本尊さまのところで
朝のお経をお唱えします。

我が家では主に住職か、副住職が行いますが
4歳の息子も、たまに一緒についていきます。

「今日、お手伝いしてくれる?」と言うと
任されたんだ!とばかりに「いいよ!」と張り切ります。

お盆にのったお水を一緒にせっせと運んで、
仏様の前に並べてくれます。
たまに、水やお茶をこぼしたりして、
「あ~あ・・・朝からやってくれちゃって・・・」、
と思うときもありますが
一生懸命やってくれる彼を怒る気にはなれません。

このくらいの小さい時は
簡単な仕事をお願いすると、とても一生懸命やってくれます。
お花の水やり、掃き掃除、などもそうです。
手伝ってるのか散らかしてるのか、わからない時もありますが
もうやらなくていいよ!と言いたいのを、ぐっと我慢。

本人は、みんなの役にたっている、自分が任されている、
ということを嬉しく思って、自分なりにやり終えたときは
「終わったよ!」、「一緒にやったよね?」と必ず報告してくれます。

自分でやってしまった方がもちろん早いのですが
子どもに仕事を与えてみるのもよいものです。

また、はじめの頃は
仏様へご飯などをお供えすると、
「どうして誰もいないのに、ご飯やお水をあげるの?」、と
聞かれたことがありました。

「目には見えないんだけど、死んじゃったおじいちゃんやおばあちゃんがいつも見守ってくれているんだよ」、
「そのまたおじいちゃんやおばあちゃんがいて、
そのおじいちゃんやおばあちゃんがいないと、
みんな生まれてこれなかったから
一人で生きているわけではないんだよ」、
というようなありきたりの答えですが、話をしたことがあります。

子どもは「ふうん」、と言って、わかったのかわからなかったのか、
よく分かりませんが
その後も、仏様にご飯やお水を運んで、なむなむしています。

それを見ていて、
「目には見えないけど大切なもの」、という曖昧だけれど大事なこと、
そういうことを、日々のなむなむから、感覚的に身にすりこまれていくのではないかと思ったのです。

すり込む、というと聞こえが悪いですが
最初は、それで良いのではないかと思うのです。
口で説明するのは難しいけれど、
目に見えない大切なことは、この世界に絶対的にあるのです。
物質的なものでなくて、相手を思う気持ちとか、そういうこと。

そういう目に見えないものに対して
なむなむ、という形をとっていることで
大事なことなんだ、と感覚で感じ取っていく。

なぜ、人を殺してはいけないか、
口で説明するのはなかなか難しいです。

最近では、そう質問する小さいとは言えない子供も
増えていると聞きます。
いけないものはいけない、世の中にはそういう
してはいけないことがあるのです、と説明するのもそうですが
小さい頃に、「目には見えないけど大切なこと」をすり込まれていれば
たぶん、感覚的にしてはいけないことは分かるのではないでしょうか。

なぜ、誰もいないのにご飯をあげるのか、
手を合わせるのか。
「目には見えないけど大切なこと」があるということ、
人は一人で生きているわけではない、ということ
仏教では、ひいてはそれが、ご先祖さんを祀る、ご供養するということにつながっていますが。

それを感覚的、体感的に敏感な子どもは特に感じることができるかもしれません。

そうだとすれば、なむなむすることは、
とても大切なことだと思います。
宗教や宗派関係なく、なむなむ、という形や言葉は別にして
そうすることは、幼少期にとても大切な教育ではないかなぁ、
と思うのです。

以前、どこかで
「家のどこかに、神棚なり仏壇なり、拝む場所があった方がいい」、と聞いたことがあります。
その言葉が正しいかどうか、真偽はわかりません。
私は個人的には神棚や仏壇がなくてもいいのでは、
とその時思ったのですが
今考えてみると、「拝む場所」、というのは
その場所自体の重要性を言っているのではなくて
拝む、という行為に込められた
「目には見えないけど大切なこと」を感じる心を養う意味であるのかな、と思いました。

頭の柔らかい幼少期、感じ取ってくれればいいのですが・・・icon16icon16













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Posted by 玉泉寺 at 23:10 | Comments(0) | お寺 | 暮らし | 子育て
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