旧信級村 明正院より

2015年12月04日

今は信州新町信級(のぶしな)、となっていますが
以前は、更級郡信級村、という村がありました。

そこに、明正院(みょうしょういん)というお寺があったそうです。

明正院は、京都の聖護院の末寺でした。
聖護院は修験道の総本山、山伏のお寺です。
その昔、最盛期には全国に修験道の山は120余り、
約2万5千ヶ寺の末寺があったといいます。
明正院も、そのひとつだったのでしょう。

明治の神仏分離令、修験廃止令の影響をうけ、
廃寺になったり、神職に替わったりするお寺が多くありました。
また、天台宗や真言宗に宗派替えしたお寺もあるといいます。
信級の方には、今もその名残か
神式の地区もあるようです。

その明治の頃、明正院はお寺自体は廃寺となり
神式に替わったそうです。
修験道のお寺にはお不動さまが祀られることが多く
明正院のご本尊もまた、お不動さまでした。

お寺がお取り潰しになるなか、住職さんは
ご本尊のお不動さまだけは、大切に大切に
保管しておいたのだそうです。
そのご住職の息子、寺島さんもまた
お父さんから
明正院の歴史、聖護院の歴史、
ご本尊の大切さを説かれてきたのでしょう。
家に残ったお不動さまを、今後どうしてお守りしていったらよいのか
心残りだったそうです。

その寺島さんも、年をとってしまって亡くなり
寺島さんのお嫁さん、おばあちゃんですが
その方からお話があり
縁あって玉泉寺が、そのお不動様をお預かりすることとなりました。

今年の夏頃からそのようなお話が進み、お不動さまに合う
厨子も作っていただき、数人の方にお手伝いに来てもらって
お不動さまをお運びしました。

見れば見るほど、素晴らしいお不動さまです。
修験道のながれをくむ明正院のご本尊さまというだけあって、
さほど仏像に詳しくない私でも、歴史を感じるような仏様です。

お不動さまと一緒に、寺島家様から明正院に伝わる古い書物などもお預かりしました。
書物に書かれた年号を見れば、天保などどれも古いものばかりなのに
保存状態がとっても良く、丁寧に、本当に大切に扱われていたのだろうと分かりました。
書物も興味深いものばかりで、
見れば、信州新町の知っている名前のお寺が記載されていたり
歴史や、その繋がりを感じます。

寺島さんのおばあちゃんも
玉泉寺に移されたお不動さまをご覧になりにいらっしゃいました。
「死んだおじいちゃんが、この仏様をどのようにしたらよいか、
本当に心残りだったろうけれど、これで安心しました。」と
仰ってくださいました。

旧信級村 明正院より

旧信級村 明正院より

代々受け継がれてお守りしてきたお不動さま。
縁あって玉泉寺にこられましたが、
大切にしていきたいと思います。

とても雰囲気のあるお不動さまです。
その昔は、修験者たちを見守っていたのでしょう。
玉泉寺にこられた際は、ぜひ、こちらのお不動さまも
ご覧になってください。













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Posted by 玉泉寺 at 21:15 | Comments(0) | お寺
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