御朱印ブームに一言

2018年02月06日

昨今、御朱印がブームになっております。

御朱印とは、神社やお寺へ参詣した際にその証明として
授けられるものです。
寺院の名前、本尊名、日付などが書かれ、護符の印が朱墨で
おされているものが一般的です。

玉泉寺は札所ではないので、基本的に御朱印というものは
ないのですが、ご希望の方にはお授けしております。

御朱印の起源は、12世紀なのだそうで、
寺院に写経を納めたり、経典を唱えたり、「納経」に対する受取状として出されたものでした。
16世紀になると庶民の全国への旅が可能になり巡礼者などが急増したことから
簡略化され霊場に参詣することを納経と言ったり
金品を納めた証に宝印をおすものになったそうです。

この朱印を一冊にまとめたものを納経帳などと呼び
やがて現在の朱印帳となったのです。

霊場各寺院を札所と呼びますが、これは納経後に氏名や年月日などを
木札に記し、参詣寺院の柱などに打ち付ける風習があったことに起因するそうです。
また、それら札所には納経所が設けられ、そこで写経を納めた後
朱印を受けたりします。


そうした本来の目的を考えると、
各札所、寺院のご本尊様を巡りながら修行を行い
写経を納めたり、経を唱えることになります。
修行、というと滝に打たれて…といったようなものを想像しがちですが
お寺にて参り、ご本尊様に手を合わせてお経をお唱えする、というのも
立派な修行なのです。

せめて、御朱印を受ける人にはそういった心持であってほしいと思います。

昨年、玉泉寺に御朱印を郵送で送ってください、とのお手紙が届きました。
御朱印用の白い四角い半紙が一枚入っておりました。

細かいことを言うようですが
御朱印は全国一律300円ですが、それすら同封されておりませんでした。

先に挙げたように、御朱印の本来の目的は修行やそういった巡礼の気持ちの証であるはずです。
参詣もせず、手もあわせず、ご本尊が何であるかもわからず
修行ができるでしょうか。

御朱印を旅の思い出に、記録用に、という気持ちが
分からないでもありません。
取っ掛かりがそういった気持ちでも構わないとも思います。
それでも、本来の意味から離れすぎると
もはやただのスタンプラリーになっているように思えます。

その墨書には、御参詣くださってありがとうございます。ご苦労様です、
どうかあなたの願いが届きますように、との気持ちを込めて住職が記すのではないでしょうか。

なんだかモヤモヤ、近年の御朱印ブーム。





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Posted by 玉泉寺 at 00:30 | Comments(2) | お寺
この記事へのコメント
久しぶりにコメントします。
随分前にお寺におじゃましてからのブログのファンです。私より随分お若いのに、しっかりご自身の考え方を持たれてて、関心しながらいつも楽しみに拝見してます。
信仰する宗教は違いますが、ここだけは垣根なしに楽しませていただいてます。これからも楽しみにしてます。
Posted by おかず at 2018年02月06日 21:19
おかず様
コメントありがとうございます。
以前、玉泉寺に来られたことがあるのですね。よろしかったら、またぜひ雪が解けたころにお寄りください。
ブログを書き、文字にすることで自分がこう思っていたんだ、とスッキリするところがあります。しっかりと考えがあるかどうかは不明ですが、お寺でのお勤めを通して感じたことを綴りたいと思いますので、よろしくお願いします。
Posted by 玉泉寺玉泉寺 at 2018年02月09日 00:24
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