氷河期世代と言われて〜お寺の役割〜

2025年01月29日

長野駅前で殺人事件が起きました。

事件を知った時には本当に驚き、
そして日常見慣れた景色が一変して恐ろしく感じました。

被害者の方、ご遺族にはかける言葉も見当たらず
ただただ、心よりお悔やみ申し上げます。

狭い地域ですので被害にあわれた方のお話や人柄も耳にすることもあり
サッカークラブで教わっていたんだ、とか
知り合いの方の息子さんであった、など
身近な話題であるからより、心が痛む思いがします。

容疑者もまた、生活圏が身近であり
何故、、といった声も聞かれます。

容疑者の男は46歳、独身無職。
生活保護を受けていたと新聞で知りました。

ニュースやネットで話しがでますが
この年代は、私も同年代ですが
就職氷河期世代と言われます。

バブルがはじけ、景気が悪く
就職しようにもできない。
契約社員でようやく仕事を見つけても
すぐに首を切られ、まともに社会保険にも加入できない。
そうするうちに職は自分の意に反して点々とならざるを得なく
履歴書にも転職したことを書くことすら嫌になってくる。

契約社員での環境は決して良いものではなく
そこで頑張って働いても今度はストレスでうつ病になったりすることも。

生活資金が安定しないから結婚なんて考えることもできずにそのままずるずると。
下の世代からはどんどん、IT技術のずっと高い新人が卒業してくるから、
いつまでも新人気取りでいられない。


戦後の焼け野原から這い上がった世代や
バブルでノリノリだった世代からしたら
そんなやつは根性が足りないとか
転職たくさんしてしょうもないやつと思われ
確かに難しい年代であるな、、と思う。

その世代でも、もちろんすべてがそうなわけではなく
普通に暮らしている人もいる。
苦しいことがあっても、いや、苦しいことがないことなんてないけれど皆、頑張っている。

容疑者は犯した罪は決して許されざることだけれど
昨日の我が身、明日の我が身、という気持ちを持たないでもない。
氷河期世代が皆同じではないけれど
寛容ではない今の社会がこのような犯人を作ってしまった一因もあるのでは、と思う。


私はこうした社会にお寺の役割が大切だと思う。
生きるのがつらい人や苦しい人はお寺に来たら良いと思う。

お寺で庭掃除や行事のお手伝いなどの、仕事をしたら良いと思う。
ただお寺に居るのではなく、作務をしたらよい。
ぜひ、そうしてもらいたい。

そうしていると、かならず、ありがとうと言ってもらえる。
ありがとう、と言ってもらえると自分がここにいて良い、存在意味があると
感じることができる。

例えば、玉泉寺の毎年3月にある初午星まつり。
檀家の人たちが高齢化して、お手伝いを毎年募集しているけれど
そうした場所で、お手伝いをしたら良いと思う。

みんなでワイワイと。食事付き。
参拝に来た人には「ご苦労様」、と言ってもらえる。
そうしているうちに
自分が得意なことをしていると有り難がれるし、重宝がられる。
ありがとう、助かったよ、また来てね、またおいで、そうした場所が必要なのではないだろうか。
実際、お寺としては本当に有り難いのだから。

そうした、皆、利害なく過ごす中で
自分の存在を自分が認めてあげればいいのではないかと思う。

そうした場所を提供するのには
お寺というのは、とても良いところだ。
現代のお寺は、そうした場の開放をすることも大切だと思うし
玉泉寺はそうした場所でありたいと思っている。


玉泉寺の親戚のお寺で、朝日村の古川寺、というお寺がある。
このお寺は地域の村寺として朝日村をまとめていて
また、お寺も村によって支えられている。
毎年正月の観音祭りには、老いも若きも地域の人たち皆でお手伝いをして
そして打ち上げ会もやり、それを楽しみにもしていて、
それぞれのできることを協力しながら祭りを支えている。

ある意味、現代には失われた
寛容な社会がお寺にはあるのだ。

ひと昔前の日本には、こうした生きづらさを感じる人や人との関わりが苦手な人にも居場所や椅子があって、地域の祭りや行事も、皆が活躍できる役割があったのだと思う。
そうした社会から、コスパタイパ、効率化であったり成果を重視する社会になっていき…
この競争から外れたら、明日は我が身、と思ってしまう人もいるのではないだろうか。

ぜひ、お寺へ行ってみたらいいと思う。
そして、自分のできることをやってみたらいい。
庭掃除でも、雪かきでも、感謝されることをやってみたらいい。
そして、ありがとう、といって、言われて、ごはんを一緒に食べたらいいと思う。




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Posted by 玉泉寺 at 17:11 | Comments(0) | お寺 | 暮らし | 社会派
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