2019年05月31日

意を決して「社会派」

ここ数ヶ月でしょうか、数年でしょうか、
悲惨なニュースが増えてきました。

28日に川崎市で起こった通学バスを待つ小学生を襲った
凄惨な殺傷事件。
命を落とされた方、被害に遭われた方、そのご家族には心中をお察しし、心よりお悔やみ申し上げます。

犯人は、明らかに強い殺意をもって、用意周到に計画された犯行だったそうです。
まだ事件のすべてが解明されてはいませんが
裕福な家庭の子どもたちが通う、そこを狙ってのことだと言われています。
小さいころに両親が離婚し、おじ夫婦に引き取られ、中卒で働いたものの仕事をやめ
長年引きこもり生活を送り、社会とはほとんど孤立した状態で暮らしていたといいます。

その犯人が、自分とは全く関係なく、裕福な学校に通い、夢も希望もある子どもたちを殺しに行く、という構図は
犯人の深い深い心の闇をとても感じ、胸が締め付けられます。
殺人は決してしてはならないし、罪のない人が襲われる、こんな事件は絶対に起きてはならない。
でも、この犯人は、自分が1ミリも得られなかった幸せを、子どもたちに見て
言葉では言い表せない、憎しみや怒りや、妬みや、そうした類の気持ちが渦巻いていたのではないでしょうか。

引きこもりの人が、全てそうではないことも知っています。
立ち直って、社会へと出ていく人もいます。
でも、でれない人もいる。
それは、その人の甘えや力不足の部分もあるかもしれないけど
今の社会がそうさせているともいえるのではないでしょうか。

優秀な人しか生き残れない社会。
優秀な人でさえ、うつ病になったり、過労死してしまうほどの社会。
合理化、効率化のもと、周りと違うことを嫌い、言われたことを言われた通りにこなせることが好しとされる社会。
「お互い様」という心もない、いつみんな自分が落とされるか分からないから周りに冷たい。
副住職の言葉を借りれば「椅子取りゲームのイス、自分のイスを持てない人はダメになってしまう」世の中。

日本も今、格差社会だと言われています。
生まれながらに優秀で裕福な人、戦いに勝てる人。
でも戦いに勝てない人もいる。
今の日本は、周りのみんなで見守る、受け入れるということをしなくなったのではないでしょうか。
なぜなのか?
さっき言った、合理化、効率化、結果が全てになってしまったから。
そこにうまく順応したり、ハマったりできる人はいいけど
そうでない人はイスがなくなってしまう。
地縁がなくなって、どこにどんな人が住んでいるか分からないから。
全てに余裕がない感じ。

余裕がなければ、何か事が起これば他人のせいにするし
虐待もするし、うつ病にもなるし、自殺もする。
そうした社会や仕組みが嫌な人が戦いをやめ都会や歯車をぬけ
田舎暮らしをしたり、新たなコミュニティを作ったりしているのだと思います。

殺人はいけない、自分で努力もしなくてはいけない。
でもどうしようもない格差社会があって
そこにどうしたって認められない、居場所のない弱い自分がいたら。
そういう人を作り出してしまう、今の社会構造というのに問題があるのだと思います。

悲惨な事件、といえば高齢者ドライバーによる、子どもたちの死亡事故も最近特に多いです。
子どもたちが犠牲になるのは、どのような事件、事故だって、心が痛みます。
これも長寿社会を迎えている日本にとって死活問題。
一般大学の経済学部卒の副住職によると
自身が大学生の時、20数年前から経済学の先生が
「日本は将来、超高齢化社会になる。よって、高齢ドライバーも増え、死亡事故も増える」、と講義していたそうです。
その時から、政府は何も手を打っていなかったのか、とは副住職。

長寿社会になる、と分かっていたのに何もしていなかった、
昔の日本のようなムラ社会から、合理化、効率化一辺倒になったことによる
引きこもりやうつ病など。心に悩みや闇を抱えた人が多いのだと思います。
予測がつくことなのに対策をたてなかった。
ニュースのコメンテーターは、「予想がつかない事件です」、何て言うけど予想はつきます。

人口減により、労働力不足で、外国人就労者の支援もはじまりますが
これも、今後ブラック企業なんかがでてきて違法労働や過剰労働など考えられます。
犯罪も増えるかもしれませんし、彼らに対する偏見もあるかもしれません。
そうしたことが少しでも薄れ、共に暮らせるようにこうしたことにも早く、目をとめてほしいです。

少子化、人口減少、日本の一番の課題とも言えます。
女性は子どもを3人は産んでほしい、と国会議員が言いたくなるのも分かります。
子どもが少ないなら、子どもを産む。正論です。
でも、その辺のじいちゃんが言うのと訳が違う。
だって、そうできない社会を作っているのが、あなたたち政治家だから。

女性の学歴が上がれば、就職率も上がって、
晩婚化が進んで、未婚率も上がって、少子化になる、というのは
容易に想像がつく流れです。
だけど社会は男性社会の部分が多く、家事、育児、と当然のように女性がやるもんだという雰囲気の中で、「一億総活躍」とか言って、女性は、仕事に家事、妊娠、出産、育児、ついでに介護、というところへもってきて、「今の人はなかなか結婚しない、子も産まない」、というのはなかなか躊躇しちゃって無理ってもんですよ、と言いたくなります。

じゃあ、仕事も家事も育児も介護も適度にこなせるような程度の仕事を女性はしていればいいですよ、っていうのも腹が立つものです。
今は、そんなところが見え隠れしているように思います。

その昔、女性の社会進出を進める時点で、そうした少子化への流れが想像できるのだから
先手先手で政策を進めてほしいもんだと思います。
今は、生産人口がすくないから「一億総活躍」といってみたり
それが大変だろうということで「働き方改革」といってみたり後手後手な感じがします。
でも、そうした政策が功を奏していけばいいと思いますが。

少子化の流れで書きますと
「結婚」しない人が多いのは事実。したいのか、したくないのか、できないのか、色々です。
結婚だけが全てではないと思いますが、今のところそれが一番メジャーな選択。
子どもを産む、ということで考えると日本もフランス初め、海外のように事実婚を認めるかアラブ諸国のように一夫多妻制を認めるか!しないと、増えないと思います。

結婚したいけどできない人は、お寺にいても思いますが、皆さん理想が高い。
そうそう理想の人なんて、出会えませんし、相手にとって
自分が理想の人だと思われるような素晴らしい人なんて、
それもなかなかいません。
かといって、じゃあ、やみくもになんでもいいやというわけでもありませんが
相手の良いところをみつけたら、そこを大切にする、ということではないでしょうか。
悪いところをみつけたら、良いところを思い出してみて、
それで帳消しになるようならとりあえず、いいのではないでしょうか。
逆に、それでも腹の虫がおさまらんようなら、その人とはナシってことで。

結婚しない、という人もいるので
結婚している私からいうと、結婚もいいものです。
もちろん、独り身なら制限されることはなく、
自分の自由にすべてができるけど
制限があって、文句も言ったり言われたりですが
「家族」という、当たり前の言葉に、時々ジーーン、とするのです。
今は、いろんな人とのつながり方ができるから寂しくないよ、
という人もいますが、うーん。どうなんでしょう。
顔を見ずにスマホ上だけの付き合いで、どんな人間が形成されるのでしょう。
コミュニケーション力不足、とはこのことなのでは、とも思います。


さて、話がだいぶ脱線し、あちこち飛びましたが
全ては因果応報、原因がある、そしてこうなる、という言葉を思い出しました。

身の回りにある問題やあれこれ、どうしたらいいんだろう、と
皆が我が身で考えていきたいものです。













 


Posted by 玉泉寺 at 23:43 | Comments(0) | 社会派
 

2019年05月29日

久米路峡あれこれ

長野県民なら誰もが歌えるという「信濃の国」。

勇ましい、リズミカルな曲調と長野の名所や著名人、地形など
よくこんなに上手に詩にまとまるもんだ、と思うほどです。
作詞家、作曲家ってすごいなと唸ってしまいます。

その4番目に曲調がガラリと変わる、憎い演出がありまして
その中の歌詞に、「心して行け 久米路橋」というところがあります。

その久米路橋というのは国道19号線沿いの信州新町にあり、
19号は犀川沿いを走る、くねくね道。
犀川がいかに谷間を通り抜け、険しい河川であったのかが分かります。

「心して行け、久米路橋」とあるように、犀川に架けられている久米路橋は
中でも一番、川が急カーブする谷に架けられていて、その間は狭く、
治水技術が伴わなかったその昔には、何度も氾濫したそうです。

久米路の人柱、とは有名なお話で
昔病気がちな娘のために、貧しかった父親が小豆を盗んで娘に食べさせたところ
娘がつい口をすべらせて小豆ご飯を食べたことを話してしまい、
父親の盗みがばれてしまったのです。
盗人になってしまった父親は、氾濫し、荒れる久米路橋の人柱とされてしまった、ということです。
それ以来、話すことに恐れを感じた娘は口をきかなくなってしまいました。
ある日、キジ狩りの際キジが鳴いたため猟師に撃たれてしまいました。
話さなかった娘も「キジも鳴かずば撃たれまい」、と言ったっきり
それ以来話すことはなくなった、というお話です。



なんだか、悲しい切ない昔話。
だけど人柱をたてるほど、荒れる険しい川であったことがわかります。

そして、これは私も知らなかったことなのですが
大正7年。久米路峡で悲惨な事故が発生したのです。

大正7年、5月。一軒の農家から出火した火事に、近隣町村の応援要請をうけて
新町地区などの若い消防手が現地へ駆けつけました。
出動した彼らは、久米路峡に差し掛かたところで橋の架け替え工事中で渡れず
小さな渡し舟にのって、対岸へ向かおうとしました。
折しも、数日来の大雨で犀川は増水しており、小さな舟は瞬時にのまれてしまったというのです。
若い十名の消防手が命を落とした、という事故でした。

節目節目で殉難消防手の慰霊法要をされていたようですが
事故から百年たったということで、一冊の冊子が作られました。
私はこの冊子を手に取り、恥ずかしながら初めてこの事故のことを知りました。



その冊子には、当時の写真や信濃毎日新聞が載っており、事故のことが詳しく書かれています。
事故の様子だけでなく、殉難した消防手の村葬のこと、葬儀にあたった寺院、給与金や葬儀費まで資料として載せられています。
当時の惨劇の様子がまざまざと感じられるのです。

19号沿いに立つ源真寺内には慰霊碑が建てられており
遺族や消防局員、消防団員、消防関係者多数が参列し法要が行われたとのことでした。

久米路峡でそんな事故があったなんて。
まさに、心して行け、だなと思うのです。
今でこそ治水工事やダム、トンネルなどができ
整備された河川添いですが
やはり昔は川は氾濫するものであったため、川の付近には人は住めなかった。

話は少しそれますが、そうした河川沿いの環境のため
人は山の峰々を歩くしかなかったのです。
そうした背景から、玉泉寺のように山のてっぺんに建つのも納得です。
峰街道、と呼ばれる山の峰々を行く道ができ、そこに
関所があり、宿場ができ、寺院もあったのです。

そして、久米路の見所をもう一つ。
久米路橋のすぐ脇に、佐久間象山お手植えの楓、勝海舟歌碑(結構立派)もあるのです。
それらの楓も歌碑も、急な山道?を登り、橋よりかなり上に立っています。
そのことからも、当時は、この崖の上が道沿いであったことが伺えます。





この新町に、佐久間象山や勝海舟が訪れていたなんて、知らなかったわ~~
何気ない渓谷だけど、信濃の国にも出てきて、歴史深い、久米路峡。
改めて、今はしっかりとした久米路橋の上に立つと
人柱になった父親や娘のこと、流されてしまった若い消防手のこと
歴史上の偉人なんかが頭の中を巡って、
何ともノスタルジックな気持ちになるのでした。

今は静かな久米路峡ですが、ぜひ、皆さんも足を運んでみてください。


 


Posted by 玉泉寺 at 23:21 | Comments(0) | 暮らし
 

2019年05月19日

2019 6月のソラテラのお知らせ

6月のソラテラは、手作りごま豆腐です!

精進料理の代表格、ごま豆腐。
手間がかかりますが、丁寧に仕上げたいと思います。
ごまをするところから始めます!根気との勝負です!
くず粉で固めて…風味豊かな手作りごま豆腐に挑戦icon16


さて、玉泉寺では民泊の受け入れも不定期でしており
6月は民泊月間でもあります。
そして、大岡にあります高峰寺の開山式もあったりして
何かとわちゃわちゃしているため、ソラテラの日にちも変更(15日)しますので
お間違えないようお気を付けください!


■日時 6月15日(土) 10:00~
■会費 500円
■予約・お問い合わせ soratera@apost.plala.or.jp

手作りごま豆腐、ぜひ味わってみませんか?
ご参加お待ちしております。









 


Posted by 玉泉寺 at 11:09 | Comments(0) | ソラテラ
 

2019年05月18日

峰街道 賑やかに

ここ最近、玉泉寺付近の峰々が密かに賑わっております。

昨年5月に、峰街道の会というのが発足しました。
北アルプスを望む、人工的に手を加えられていないこの風景や道を
大切に残し、広めようという活動が広がっています。

https://minekaido.com/

今週日曜日、12日には峰街道を走るマラソン大会がありました。
大安寺スタートの大町がゴール。35キロを走るコースです。
そのコースからは、つねに北アルプスが見えをはしる、山の峰々を走るものです。
県内外から、80名の参加者があったそうです。

私も子どもと一緒に、沿道で応援。
途中、小川村立屋の給水所では、おやきの振る舞いもされたようで
ランナーの皆さんは美しい景色と郷土のもてなしに大変喜んでいるようでした。

実際、小川村からのアルプスの眺めは素晴らしく、
へとへとになったランナーの目に飛び込んでくる開けた景色は
山を走る疲れを一気に吹っ飛ばしたことと思いますicon14icon14

いつも何気なく、軽トラで飛ばしてる山道にランナーの皆さんが走っている姿は
とても新鮮で、こうした山々にも魅力があるなぁと思いました。

そしてもう一つ、小川村立屋の近くに、りんりん館という宿泊施設がありますが
その施設が、この4月にリニューアルされてオープン!

https://rinrincan.com/

まだまだ改装途中のようですが、とても素敵に生まれ変わりつつあります。
全室ベッド、北アルプスがどーーーん、と正面に見えるダイニングに薪ストーブ、
ボルダリングの設備もあって、宿泊者以外でも使用できるとのこと。
畳敷きのお風呂、露天風呂に広いテラスも建設中、とのことでどんなお宿になるのか楽しみです。
玉泉寺からも近いので、お寺に来られた方が寄り道をすることもできるし、その逆も。

山しかないこの辺りですが、それが何にも代えがたい魅力でもあります。
峰々がこれから少しずつ、賑やかになっていけばいいなと思います。



 


Posted by 玉泉寺 at 16:10 | Comments(0) | 暮らし
 

2019年05月10日

2019 5月のソラテラ

大般若会から数日後、5月のソラテラを開きました。

大般若会にもお出ししている、手作りの草餅講習会でした。
よもぎの香りがたまらない大好評の草餅!

大般若会ではたくさん食べられなかったから、と
今回のソラテラでリベンジされる方もicon16icon16
皆さん、本気(マジ)ですicon09

私も実家の母から、この草餅だけ?は作り方を覚えておきなさい、と
言われるくらい絶品なのですface08face08

さてさて、作ることと食べることに必死で
写真を取り忘れましたが、5月の美しい青空の下で
お昼ごはんとなりました。
お昼のメニューは
カレー、はるこさんの出来立てあったかこんにゃく(これがまた、美味い!)
オレンジゼリー。

北アルプスがきれいに見え、お腹も心もまんぷくです。
食後には薪でお湯を沸かしてコーヒーを。
こういうのが、贅沢と言うんではないかしら〜〜

とても素敵なソラテラとなりました。
ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

6月のソラテラは、8日ではなく、別日に開催予定です。
詳細は決まり次第、お知らせいたしますので
お楽しみに。

 


Posted by 玉泉寺 at 16:08 | Comments(3) | ソラテラ
 

2019年05月08日

大般若会

5月5日、大般若会が行われました。
その昔、西遊記で有名な玄奘三蔵法師がインドに旅して
シルクロードを通って持ち帰ったという大般若経典。
600巻ある、膨大なお経をパラパラ〰️と流すことで、全部読んだ!ことにしてしまう
面白い行事です。

玉泉寺にも江戸時代から伝わる経典があるので、毎年こどもの日に
その功徳を皆さまにも回し向けるということで
役員さんを中心に50名ほどご参加頂き、5月の晴天の中、行われました。

大般若会は毎年5月、玉泉寺が一番?気持ちのいい素敵な季節に開かれるので
私も大好きな行事なのです。


準備として、古い経典なので破れていないか確認作業。
二年生になった長男が立派な戦力に!スバラシイ~!





毎度のことながら、台所を担う裏方皆さんに感謝です。
今年も美味しい草餅をいただけることに、また感謝!

皆さん、ありがとうございました。

 


Posted by 玉泉寺 at 17:44 | Comments(0) | お寺
 

2019年05月02日

新たな時代へ向けて

平成が終わり、令和の時代を迎えました。

お正月がまた来たみたい!と我が家でも会話になりました。

前天皇の意志を引き継ぎながら、新たな道を模索されるのだと思いますが、新天皇のお人柄や一生懸命な姿やお気持ちが、テレビを通じてとても強く感じられました。
私達も負けずに前を向いて進んでいきたいと思います!
  

さてさて、お知らせが遅くなりましたが、
5月のソラテラ。
草餅づくりです。
連休明けですが、ご都合のつく方、ぜひご参加お待ちしています!!


■日時  5月8日(水)10時〜
■会費 500円
■場所 玉泉寺
■予約、問い合わせ
    soratera@apost.plala.or.jp 

お待ちしております!
 


Posted by 玉泉寺 at 09:04 | Comments(0) | お寺 | 暮らし | ソラテラ